根本療法を主にして治療を展開している私のクリニックでは、個別化医療を展開しています。
私も紙面やネットで栄養療法や統合医療、個別化医療の情報を投稿していますが、ネットや紙面の文章では、一般論を語るのが限界です。むしろ表現しにくいです。
リンゴは赤です。といっても嘘になります。青いリンゴもあるからです。疾患一つにしても人によって多種多様な症状を呈するのはなぜでしょう?・・・それは、体内環境、ライフスタイル、住環境、食生活などが異なるからです。
一概には語れないからです。
同じ病名で診断された人は、同じ症状を持つかというと、違います。そこには異なる病態が存在するからです。
病態を把握することこそが、根本栄養療法の神髄となります。
個別化医療は紙面やネット上では表現しにくいくらい、何らかの症状を呈した人物には千や万の個別化された病因が存在します。
その病因を見つけるのが根本療法です。そのために多くの視野、あまたの知識、尋常ではないほどの情報量のデータベース、さらに数々の経験が必要です。
根本療法を実践するためには、病因の数が多いため、簡単には行きません。そのため時間もかかる上、聞き出すためのテクニックも必要です。
紙面やネット情報では描けないほどの、多くの情報を少なくとも数時間をかけて、まるで絡んだ糸をほどくように上流の1点を探し出すことが、とても重要になります。
なので生きた根本療法を実践するには、ネット情報や紙面の情報だけでは、その多くを語れないのです。
〇〇には□□がいい、△△には××がいいなど、一般論がネットで、あるいは口コミで広がっていますが、いずれも病態や根本を見抜いていないので、到底根本療法にたどり着けないどころか、その一般論こそが根本療法の妨げになってしまうことが多々起きています。
外来でも糖尿病には、〇〇がいいと聞いたのでどうですか?とか専門職の医師や看護師からも同じようなことが聞かれます。「私にはどうですか?」が正解です。”病態”という、今では看護学生でも学習する病態理論の根幹からずれた考えとなっており、まるで自動車エンジン全体にエンジンオイルをかけるかのような治療法のようにみうけられます。エンジンオイルはきちんとしたところに入れないとうまくいきません。
このようなことが現在の医療でも起きている可能性があります。
少しでも、その人に合ったベストの治療法を見つけてあげることが、医療の本質だと考えます。
医療において一般論は、患者の根本療法を阻害する、可能性があるのです。
その点に留意して医師は、治療に当たる必要があると考えています。