ハートフルクリニックの平良です(^_^)v
今回は、ミトコンドリアの機能が低い場合ATP産生能が低下して、ATPがうまく利用されずに起こる代謝の変化をコレステロールの2つの面で見ることができる・・・という話です。
スライドをお持ちの方は、スライドNo.1とNo.2を用意されて下さい。
■まずは、コレステロールの合成から・・・
コレステロールはHMG-CoAから・・・となりますが、その前は私たちが食べた蛋白質、脂質、糖質がアセチルCoAとなりこれがHMG-CoAとなり、コレステロール合成へとつながって行きます。
スライドNo.1を見るとおわかりのようにHMG-CoAからコレステロールに至るまでには、7つ以上の代謝酵素のお世話になります。
途中B3が必要であり、その次にATPが必要になります。
ATPは代謝の通貨であると、このブログでも説明していますが、コレステロール合成においてもこれが必要です。
さらにこのATPがないと、せき止められた代謝物質である、メバロン酸は癌増殖に有利に働く、多くの物質や代謝に影響を及ぼします。これはやばいです(-_-;)
ATPがきちんと合成された後でも、多くの経路を経てようやくコレステロールが合成されます。
スクワレンの合成には、NADPHが必要となります。
NADPHは、3つの状態で消費されるので、その場合・・・コレステロール合成が停滞します。(この後のクイズで出題します)
コレステロール合成を促進するアミノ酸もそこで記載されています。(これもクイズで出題します)
■次にコレステロールの利用、代謝について・・・
今度はスライドNo.2を用意して下さい。
ATP→cAMPができます。
このcAMPがStARを活性化し、コレステロールのホルモン系への利用の第一歩であるミトコンドリアへの侵入が始まります。
なので、ATPがないと、そもそもコレステロールが利用できない状態になります。
もちろん男性ホルモン、女性ホルモン、DHEA、プレグネノロン、コルチゾールが合成できないので、疲労感や精神不安などの症状の要因となります。特にこの経路はニューロステロイドの合成につながりますので、活動性が停滞し、認知機能にも影響します。
■以上から・・・
ATP合成能の低下は、コレステロールが低下して180未満になったり、220以上になったり、両方の側面を持ちます。
いずれにしてもミトコンドリアの機能低下は、コレステロール代謝に重要な影響をもたらすということです。
実は同じ現象が中性脂肪にも言えます。
合成するのも代謝するのも・・・ATPが必要です。さすがっ・・・代謝の通貨、というところです。
ATPはメチレーションにも重要な役割がありました・・・代謝がうまく回るためにもミトコンドリアの機能がいかに重要か、ATPが通貨になっている訳・・・わかって頂けたでしょうか?(^_^)