ハートフルクリニックの平良です。
子宮頸がんワクチンの副作用についてタイラズメソッド的に考察しました。
現在、私がボードメンバーを務めます点滴療法研究会でも活発に議論がなされ、少なからぬ症例において改善例が見られている子宮頸がんワクチンの副作用発症例ですが・・・
その症状、倦怠感、音やにおい、光に対する過敏、化学物質過敏、神経障害などが・・・ビタミンCや点滴、B群やビタミンD3などで改善しているところ、検査データから髄液中、血液中の炎症性物質が検出されていることなどから・・・
タイラズメソッド的に次のようにその病態およびそれに基づく治療を考えています。
★メチレーション代謝の障害:一番の障害はメチレーション代謝が回らないことと考えます。それにより神経の鞘が合成できず脱髄をが起きていると考えられます。メチレーションの活性化にはSAMe、MTHF、メチル化B12、ベタインなどが必要です。
★上記1による解毒の停滞(グルタチオン、硫酸、タウリン合成低下):メチレーションは神経鞘を作る一方で解毒にも関与する大切な代謝です。おそらく解毒機構の障害もこの病態には関与していると思います。ホモシステインをグルタチオン合成に至らしめる酵素がCBSですが、その活性がSAMeで上昇します。またSAMeはポリアミンの合成に関わります。ポリアミンはオートファジーをもたらし、ミトコンドリア機能を高めます。さらにSAMeはメチレーションをもたらします。
★ミトコンドリアの機能低下:炎症や有害物質、トランス脂肪酸などでミトコンドリアの機能が低下し、その結果ATP産生が障害されます。ATPはメチレーションを回すためにも、メチレーションを関連するSAMe、解毒のグルタチオン、化学物質の作用を抑制するBH4が合成されないことが関係していると思います。BH4は鉛やアルミでその合成が低下するため、有害金属のチェックも必要です。ミトコンドリアの機能はB群、αリポ酸、Lカルニチン、コエンザイムQ10が必要ですが、B群に加えて、この病態にはMTHF、メチル化B12、B3、B6が高
★炎症(特にIDO、COX2→PGE2→Th17→Il-17→BBB障害)の活性化:炎症性物質はそれだけでミトコンドリアの機能低下、メチレーション障害をもたらします。IL-6はメチレーション機能を障害します。これを抑制するのがグリシンとビタミンKです。ビタミンKは胆汁が分泌されないと吸収されないので、胆汁の分泌は解毒とともに大切です。胆汁分泌をもたらすのが、モズク、こんにゃく、ウコン(ウコンの精油成分にその作用があることから春ウコン推奨)、タウリンなどです。タウリンの排泄はマグネシウムが抑制します。
★トリプトファン代謝異常(NAD、NADH合成低下):トリプトファン→ナイアシン→NAD→NADHの途中経過に障害があると思われます。その抑制、障害に腸内悪玉菌の関与の可能性があると考えています。アシドフィルス(ビオチン合成)が入った複合タイプの善玉菌サプリメントがいいと思います。
★Th17によるBBBの障害:炎症によってCOX2の活性化、それによりPGE2の合成、さらにTh17合成へと進み、血液脳関門の障害がおこり、精神的な症状が出現します。※もともとBBBはそれほど強固なものではないと考えています。
★腸内環境の乱れ(デイスバイオーシス):腸内環境の乱れはリーキーガット症候群様の病態から、体内に炎症性物質を巡回させることにより、メチレーションの低下につながります。腸内環境の改善が必要です。
★有害金属類:前述したアルミ、鉛以外に、水銀、ヒ素、ニッケル、フッ素化合物はメチレーションやミトコンドリアの機能低下になります。さらにモリブデンの低下は硫酸合成低下で解毒機構の低下になります。※有害金属の除去が必要ですが、キレーション点滴は平良的にはB群活性が低下各種有益ミネラルも抜けるので病態が悪化するのでは・・・と考えています。有害物の除去はメチレーション活性化、グルタチオン、タウリン、硫酸による体内にもともとある機構を利用するのがベストと考えます。今後の治験でキレーションが有効であるとなるかもしれませんが、キレーション点滴をする場合にはその前に十分なB群やミネラルの補充が必要と思います。
★環境ホルモン:環境ホルモンによる影響も示唆されます。神経毒になり、病態に影響することが考えられます。プラスチック製品の使用を避けることも大切です。
★インスリン抵抗性:インスリンが高いと炎症が起こりやすく、Th17に傾きやすくなります。
以上のことから、B群、αリポ酸、Lカルニチン、コエンザイムQ10、B3(フラッシュフリータイプ)、B6、MTHF、メチル化B12、ビタミンD3、SAMe、ベタイン、ビタミンC、NAC、タウリン、クルクミン、ステムシーニュートリッション、ビオチン、善玉菌サプリメント(各個人の病態により量やセレクトが異なります)が必要になります。※BDNF(脳由来神経栄養因子)を増やすためには・・・EPA&DHAとクルクミンがいいと思います。クルクミンは吸収が悪いのでセラクルミンかピペリン配合のクルクミン推奨です。
その他Th17対策として、レスベラトロール、抗炎症としてEPA&DHA、アスタキサンチン、ベンフォチアミン、グルコサミンなどが使えます。
点滴療法研究会では、点滴により改善例があることから、点滴も積極的に実施するべきと考えます。
まず・・・するべきことは病態把握、基本的なサプリメント摂取、点滴を漸増して実施することだと考えます。
さらに食生活、ライフスタイルも変更する必要があります。
1晩の夜更かしでインスリン抵抗性が高まることもあり病態に影響します。睡眠時間の確保、規則正しい生活、腸内環境も整える必要があるでしょう。
アレルギーがなければタイラズレシピとして、ひき割り納豆+テイースプーンの黒糖+カレースプーンのしそ油+たまごの黄身お勧めです。脳神経の改善のレシピです。
さらにATP産生をもたらすために中鎖脂肪酸(ココナッツオイルに多く含まれます)も必要です。
脳神経の構成要素の蛋白や脂質の摂取も大切です。
硫酸による解毒をもたらすために、エプソムソルトを用いた入浴もいいと考えています。
以上、子宮頸がんワクチン副作用の病態考察の一助になれば幸いです。