栄耀療法をマスター中の皆様へ
ハートフルクリニックの平良です。
このお知らせでは・・・私が提唱するタイラズメソッドの中核となる”7つの代謝経路図”を用いた栄養療法について記載します。
1、 HMG-CoAからコレステロールができるまでの代謝経路図
食事の成分(糖質、脂質、アミノ酸)からコレステロールができる中間体が、HMG-CoAです。その上のアセトアセチルCoAからケトン体ができます。
ケトン体の合成は、精神疾患とも関連します。また癌の治療とも関連します。
HMG-CoAからコレステロールができますが、その途中でコエンザイムQ10や、発がんと関連するイソプレノイドが合成されます。
その代謝を知ることで、健康や治療に使えます。
※治療に使えるとは・・・代謝酵素や転写因子を食素材やサプリメントで促進、抑制など、コントロールして、代謝を変えることを意味します。
【病態理解に使える疾患】
慢性疲労、癌、精神疾患(自閉症、多動症、統合失調症、うつ)、脂質異常症、リーキーガット症候群、アルツハイマー、糖尿病などに使えます。
2、 コレステロールの代謝
コレステロールは胆汁になり(その過程でビタミンCが必要)、ミトコンドリア内に入りホルモンに合成される過程を経て、最終的には性ホルモン、コルチゾールなどになります。
ホルモンコントロールともなる代謝上の治療ができます。
コレステロールからコルチゾールができるため、アドレナルファテイーグの理解ができ治療につながります。
代謝経路図を見るとエストロゲンやアンドロゲンのコントロールができるため、性ホルモンのコントロールが可能となります。
【病態理解に使える疾患】
慢性疲労、癌、アドレナルファテイーグ、性ホルモン癌、農薬による障害、ホルモン異常、更年期障害、脱毛、PTSD、うつ、甲状腺機能異常、糖尿病、アレルギー、うっ、不眠などに使えます。
3、 ミトコンドリア内の代謝
ミトコンドリアは、エネルギー代謝の中心として知られる一方で、アミノ酸、糖質、脂質がエネルギーに代わるための代謝の十字路となります。
糖質、脂質食が多い人は、代謝交差点の渋滞を起こします。
嫌気性解糖、ミトコンドリアに入ってからのクエン酸回路、電子伝達系でATPを産生しますが、疾患によりそれが阻害されたり、亢進したりします。
たとえば癌では嫌気性解糖が促進され、TCA回路の一部が抑制されます。
電子伝達系の抑制が関係して発症していると思われる疾患もあります。
コルチゾールが電子伝達系を抑制するので、アドレナルファテイーグの前の段階では電子伝達系の機能低下があったと思われます。
【病態理解に使える疾患】
慢性疲労、癌、アドレナルファテイーグ、性ホルモン癌、農薬による障害、ホルモン異常、更年期障害、うつ、甲状腺機能異常、糖尿病、アレルギー、不眠などに使えます。
4、 トリプトファンの代謝
7つの経路図の中でも唯一アミノ酸の代謝経路図、それには発がんや精神疾患と関連する重要な意味がある。体内でも重要なアミノ酸の一つになります。
精神疾患と癌の関連もこの代謝でわかることになります。
トリプトファンの代謝は、免疫を司るメラトニンを合成する経路と、エネルギーや糖代謝を司るナイアシンを合成する経路の2つの経路があります。
前者の経路がきちんと成り立つ場合は、精神安定(セロトニン)と抗癌免疫がもたらされます。
健康人の代謝では、ナイアシンを合成する経路がほとんど活性化されています。
【病態理解に使える疾患】
癌、精神疾患(統合失調症、うつ、自閉症、多動症)、偏頭痛、線維筋痛症、化学物質過敏症、慢性疲労、糖尿病に使えます。
5、 リノール酸代謝
7つの代謝経路図のうち脂肪酸の代謝経路図はこの1つ。
リノール酸は代謝を受けジホモガンマリノレン酸となり、それからプロスタグランンジンE1とプロスタグランンジンE2の2つに合成が分かれます。
前者は抗酸化、後者は酸化や炎症をもたらすものとなります。
その二股に分かれた経路図をプロスタグランンジンE2に傾けるのはインスリン抵抗性と炎症です。
さらにアラキドン酸が過剰にあるとプロスタグランンジンE2が合成されます。
E1かE2のどちらかになるかで、健康体かそうでないかが異なります。
※ただし、E2は妊娠には必要になります。
【病態理解に使える疾患】
精神疾患(うつ、統合失調症)、慢性疲労、不妊、癌、アレルギー、ぜんそく、糖尿病、癌、歯周病、カルシウムパラドックスなどに使えます。
6、 メチレーション
メチレーションの代謝経路図は多くの疾患と関連します。
代謝経路図の中でこれほど多くの疾患と関連した代謝経路図はありません。
メラトニンを代表としてメチル基転移反応できる生理活性物質が多く、生命維持に関わっていることを意味します。
生理活性物質の合成以外に解毒にもかかわるメチレーション、・・・グルタチオン、タウリン、硫酸の3つはメチレーションサイクル途中のホモシステインから合成される物質です。
すなわちメチレーションが回らないと解毒もできないことになります。
メチレーションはホモシステインを挟んで、メチレーションサイクルとリメチレーションサイクルからなります。
ホモシステインからできる解毒3物質、これができないと解毒ができない、さらにメチレーションがうまくいかないとDNA合成ができない、神経鞘形成がうまくできず神経の働きがうまくいかなくなります。精神神経症状と関連します。
メチレーションおよび解毒に関わる酵素は数多くありその変異があれば、自閉症、多動症、統合失調症、慢性疲労を発症します。
【病態理解に使える疾患】
精神疾患(自閉症、多動症、統合失調症、うつなど)、慢性疲労、自己免疫疾患、有害物暴露、化学物質過敏症などに使えます。
7、 ヘルパーT細胞の分化バランス
7つの経路図最後のスライド。T細胞免疫系の分化誘導がどこに向かうかで疾患が異なります。
T細胞の中、Th1、Th2、Th3、Th17をスライドに入れて、それぞれの分化を誘導するもの抑制するものを示します。
疾患の発症予防、治療を行うために必要な経路図となります。
【病態理解に使える疾患】
自己免疫疾患(炎症性腸疾患や関節リウマチ、多発性硬化症、1型糖尿病、湿疹、乾癬、自閉症、バセドウ病)、統合失調症、アレルギー性疾患(アトピーなど)、癌などに使えます。
以上は概略ですが、上記7つの詳細を把握すると栄養療法の強力な見方になります。
いずれ1枚1枚について、詳細なセミナーを予定しています。