炎症で・・・硫黄転移反応(トランススルフレーション)はどうなるか?

2019年08月30日ATP ,メチレーション ,炎症

ハートフルクリニックの平良です(^_-)-☆

 

今回の話題は、メチレーション。

 

メチレーションは、ロータリー状の交差点がいくつか重なっており、その中でもホモシステインの交差点(別の記事では、鍵物質として記載しています)が最も有名ではないでしょうか?

 

メチレーション以外で人間の代謝上、重要な交差点がアセチルCoAですね~。

 

アセチルCoAは、TCA回路に入り、エネルギーになるほか、中性脂肪やコレステロール、コエンザイムQ10、ケトン体、グルタミン酸、GABA、アセチルLカルニチン、アセチルコリンなどに代謝される多機能な物質です。

 

恐るべしアセチルCoA!!!

 

メチレーションの代謝交差点は、ホモシステイン。

 

ホモシステインは、その処理を巡って、上に行ってリメチレーションサイクル(ホモシステインサイクル)にいくか、あるいはCBS酵素により硫黄転移反応(トランススルフレーション)にいくかによって、代謝上だけではなく、臨床上の意義が異なってきます。

 

最もよくないのは、どこにもいかないで蛋白と結合して悪さをする。動脈硬化や自己免疫疾患、脱髄、神経障害、血栓形成などなど、老化を促進する病態を形成します。

 

老化も炎症そのものですが、炎症でホモシステインがどのような動きをするか、検証してみましょう。

 

まず炎症では亜鉛が不足してきます。IL-6の処理にメチレーションが使われるためです。

 

リメチレーションサイクルでは亜鉛が使われます。

 

また腸内に炎症があると亜鉛の吸収がもともと悪い(5~40%)上に、さらに吸収が悪くなるので血清亜鉛が下がります。

 

そのため、リメチレーションサイクルが回りづらいということになります。

 

さらに炎症があるとトランススルフレーションの途中で代謝が阻害され、アンモニアの産生が高まります。

 

炎症による酸化ストレスは、CBS酵素を活性化させ、これがアンモニアの産生を高めます。

 

CBS酵素の高発現はB6の消費をもたらします。

 

同時にアンモニアの処理に3ATPが消費されるため、体内のATP量が減少します。

 

トランススルフレーションにより、本来はグルタチオン、タウリン、活性硫酸の解毒3兄弟の産生も低下し、解毒力も低下します。

 

以上まとめますと、①ホモシステインが上昇して動脈硬化、脱髄、自己免疫疾患を起こす、②アンモニアが上昇ATPが消費される、③解毒3兄弟の合成が低下とともに解毒力が低下する、④B6が低下、⑤亜鉛が低下する、⑥甲状腺機能が低下する。

 

グルタチオン、タウリン、活性硫酸のそれぞれの働きが重要であるだけに、炎症はできるだけ避けたいですね。

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