ATP産生のコツ・・・ATPを産生させるには

2017年01月20日ATP ,栄養素・サプリメント

ハートフルクリニックの平良です(^_^)

今回は、ATP産生を促進させるには・・・について語ります。

まずはATP産生の経路を・・・

ATPはぶどう糖が嫌気的解糖(代謝経路図28番参照)を経てその間にも2ATP産生されます。

さらに嫌気的解糖からできるピルビン酸からTCA回路(代謝経路図3番参照)に入ります。

さらにTCA回路(代謝経路図3番参照)でできたNADHが電子伝達系を経てATP産生されます。NADHは複合体Ⅰに渡され電子伝達系を経て、ATP産生します。

脂質では、長鎖脂肪酸はLカルニチンによりミトコンドリア内に誘導され、中鎖脂肪酸(ココナッツオイルなど)はLカルニチンなしでミトコンドリアに入り、β酸化されFADHを合成し、それが複合体Ⅱより後のコエンザイムQ10に渡されて、バイパスするように電子伝達系に入り、ATP産生します(代謝経路図21番参照)。

酸素は、複合体Ⅳで使用され、水を産生しますが、この酸素の働きにより、ミトコンドリア内膜と外膜の間の膜間スペースに2個の水素を送り込むことができます。(代謝経路図21番参照)

各複合体は、Ⅰが4個、Ⅱ+コエンザイムQ10が4個、Ⅲが2個、Ⅳが2個を膜間スペースに送り、複合体Ⅴは膜間スペースにたまった水素3個をミトコンドリア内に送る(ダムのような力で)際に、ATPを産生します。

なので、きちんと複合体が働くと12個の水素が膜間スペースに入ります。

複合体Ⅳまでで12個ためて、複合体Ⅴで3個使用するので、複合体ⅠからⅤまでに3/12=1/4を使用する形になります。

低酸素の影響は大きく複合体Ⅳにより2個の水素が膜間スペースに入らないので、ATP産生量もその分(16.7%)低下します。

脂質系は、複合体Ⅱ移行から最終的なATP産生である電子伝達系に入るので、バイパス的経路になります。特に、中鎖脂肪酸はLカルニチンがなくてもミトコンドリアに入るので、効率よくATP産生されることになります。

複合体で必要な補因子は、複合体Ⅰが亜鉛、ヘム鉄、硫黄、複合体Ⅱがヘム鉄、ビタミンB2、複合体Ⅲがヘム鉄、複合体Ⅳが銅、その他コエンザイムQ10が必要になります。

ピルビン酸がクエン酸になるTCA回路では、ビタミンB1、2、3,5,αリポ酸、マグネシウム、ビオチンが必要になります。

嫌気的解糖でもマグネシウム、B3、ATP自身が必要になります。

以上をまとめると、ぶどう糖→→→ATPには、B群、マグネシウム、亜鉛、銅、ヘム鉄、コエンザイムQ10、αリポ酸、硫黄などが必要であり、脂質→→→ATPには、それに加えてLカルニチンが必要となります。

効率的なATP産生は、中鎖脂肪酸(ココナッツオイル)とコエンザイムQ10が少なくても必要となります。

以上は栄養素的に考えたATP産生促進素材ですが、ハーブや漢方系、その他でATP産生量を増やすものがあります。

例えば冬虫夏草は肝臓でのATP産生を30%上げ、シチコリン(CDPコリン)は前頭葉でのATP産生を14%上げることが知られています。

5-ALA(5-アミノレブリン酸)+Feは複合体Ⅳを活性化し、ATP産生量を高めることが知られています。

ATPはリンでできるので、血中のリン濃度が一定に保たれる必要があります。

ビタミンDが不足するとリンが低値になるので、ATP産生にはビタミンDも必要になります。

その他ATP産生を高めるコツは、体内炎症がないこと、NADPH(NADPHはATP産生に必要な捕酵素であり、これが低下するとATP産生が低下する。)不足がないこと、NADPH不足は、葉酸(FA)摂取、溶血、高血糖、B3不足、炎症でおこります。さらに、カドミウムの蓄積がないこと(カドミウムにより腎機能障害からリン低値をもたらします)、呼吸不全(これにより低リンになります)がないこと、ミトコンドリア機能低下をもたらす肥満、高血糖、有害金属、環境ホルモンなどがないこと・・・などがあります。

このようなことを考えると健康的に1日50kgから100kgの大量のATPを産生するには、栄養素が整いアクセルが踏めて、有害金属や炎症がないサイドブレーキが引かれていない、奇跡的な状況を作る必要があります。

当然ながら、一人一人ATP産生量は異なります。

ATP産生量の低下は各種疾患発生とつながります。

ATP産生量を高めて上げることも、それができることも栄養療法の極意と言えると思います(^_^)

このブログをお読みの医師、歯科医師、薬剤師、栄養士、管理栄養士、看護師その他医療関係者の皆様、このような代謝に基づいた栄養療法、代謝栄養療法を一緒に学びませんか?

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追記

この記事の理解を深めるためには、サプリメント療法レシピファイル「ATP」および「ATP産生量」参照して下さい。

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