代謝上のバイパスを利用した治療(バイパス療法、ショートカット療法)

2014年07月28日SAMe ,ビタミンB12 ,メチレーション ,亜鉛 ,代謝経路図

1、メチレーション代謝上のバイパスを利用した治療

メチレーションは多岐にわたる働きがあり、特に重要なのは神経の働きを担うミエリン鞘の合成をすること、DNA合成に関わること、その他ホルモンの合成に関わり、生命維持、身体活動、精神活動に大きくかかわります。

ところがメチレーションは多くの別の代謝とリンクしているために、阻害を受けやすい代謝の一つです。

ミトコンドリア代謝と同様、阻害を受けやすいため、バイパスがありますが、その存在はあまり認知されていません。

そこで・・・そのバイパスを逆に利用することで疾患の治療に活かせます。

ではメチレーションを手っ取り早く回すバイパスは・・・

それに使用できる素材が・・・ベタインです。別名トリメチルグリシン、TMGと言われるアミノ酸グリシンにメチル基が3つ付いた物質です。

このTMGはホモシステインをメチオニンにするために必要で、通常ホモシステインからメチオニンを合成するには、BH4やメチル化葉酸、メチルB12、その他 多くのビタミン、ミネラルが必要です。そのため代謝を正常に回すためには一苦労です。

そこでてっとり早く同じ代謝をもたらすためには、ベタインと亜鉛が必要です。同じくホモシステイン→メチオニンを合成します。

なのでメチレーション障害による疾患としての、自閉症、統合失調症、多動症などの精神疾患、神経障害をはじめとして、体内ホルモン合成障害に起因する方はこのベタインを用いたバイパスを活用することができます。

特に自閉症や統合失調症には活用できる代謝経路上のバイパスです。

2、TCA回路のバイパスを用いた治療

TCA回路はATPをつくるために大切な代謝です。

ATPを作るためには、通常は嫌気性解糖→TCA回路→電子伝達系(複合体Ⅰ→Ⅱ→コエンザイムQ10→Ⅲ→チトクロームC→Ⅳ→Ⅴ)を回さないといけません。

今回のバイパスは複合体Ⅱにいきなり入るバイパスです。

そのために使われるのは中鎖脂肪酸です。
ココナッツ油にその含有量が高いので、活用できます。

中鎖脂肪酸は他の脂肪酸と異なり、ミトコンドリアに入る際にLカルニチンを必要としない特徴を持っています。

ATPはエネルギー物質であるだけではありません。

自閉症で低下しており、さらに解毒に必要なグルタチオンの合成にもATPが必要です。
メチレーションに必要なメチル化葉酸、BH4、SAMeの合成にもATPが必要です。

つまりATPがないとメチレーションまで回らないのです。

ATP産生が低下して障害が発生している例では、中鎖脂肪酸を活用することが治療に使えます。
ココナッツオイルをお勧めします。調理油としても活用できます。

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