炎症による代謝の変貌

2016年10月23日代謝経路図 ,炎症

ハートフルクリニックの平良ですm(_ _)m

今回は、炎症で何が起こるかをまとめたいと思います。

題して・・・炎症による代謝の変貌・・・炎症により代謝でなにが起こるかを、代謝経路図も参照して頂きながら解説したいと思います。

ではさっそく・・・

1.      11β-HSD1が活性化されてコルチゾンコルチゾールに変換される。11β-HSD2を抑制してコルチゾールを増やす方向に動く。これにより代謝経路図No.2に示すとおりコルチゾールの作用が起こる。

2.      炎症によりのアコニターゼが抑制される。これによりTCA回路が抑制される。炎症はミトコンドリア機能低下を意味する。電子伝達系が炎症により抑制される。・・・代謝経路図No.3を参照。代謝経路図NO.21も参照。

3.      TDO/IDOを活性化してトリプトファンのキヌレニン経路を活性化する。これによりセロトニン、メラトニン合成が低下する。・・・代謝経路図No.4、No.4-2参照。メラトニンの合成が低下することから免疫系が低下する。

さらに炎症性サイトカインは、セロトニントランスポーターを活性化し、シナプス間隙のセロトニンを減少させる。メンタルが弱くなります。場合によってはうつも発症します。

4.      ホスホリパーゼA2が活性化し、細胞膜からアラキドン酸が遊離される。炎症初期にはプロスタグランジンE2合成促進される。・・・代謝経路図No.5参照。遊離脂肪酸(FFA)によりフリーラジカルの産生が高まり、酸化障害をうけることとなります。遊離脂肪酸(FFA)が高い場合は、ホスホリパーゼA2が活性化しているか、クエン酸→アセチルCoA→脂肪酸合成が促進されているかのいずれかが考えられます。

5.      炎症によりヘムオキシゲナーゼが活性化し、一酸化炭素が生成され、これがCBS酵素を抑制する。さらに炎症によりシステインジオキシゲナーセ(CDO)が抑制されタウリンと硫酸の合成を抑制し、解毒機能を低下させる。炎症でメチレーションが促進される。BH4の合成が低下する。・・・代謝経路図No.6参照。No.26も参照。ヘムオキシゲナーゼの活性化は、フェリチン上昇、ヘモグロビン低下をもたらす。

6.      炎症によりTh17やTh3、Th2が増加する。・・・代謝経路図No.7参照。慢性炎症になるとTregとTh17が誘導される。血液データではリンパ球比率が高めになる。

7.      炎症によりNrf2が活性化する。・・・代謝経路図No.10参照。

8.      血小板・・・炎症によりIL-6を始めとするサイトカインが上昇する、これにより血小板が増加する。

9.      亜鉛・・・炎症により亜鉛が低下する。亜鉛低下により代謝が変化する(サプリメント療法レシピファイル参照)。

10.   ヘプシジン・・・炎症によりヘプシジンが上昇する。これによりフェリチンが上昇し、ヘモグロビンが低下する。・・・代謝経路図No.16参照。

11.   TNF-α・・・TNF-αによりMMP2、MMP9が活性化する。MMPが関与する各種疾患のリスクが上昇する。代謝経路図No.15参照。

12.   ATP・・・炎症によりミトコンドリア機能低下、これによりATP産生量の低下により、体のだるさなど各種症状が出る。メンタルの低下も起こる。同時にリンにより尿酸合成抑制、結果として尿酸は4.0以下となる。コレステロールと中性脂肪は低下する。

以上・・・炎症で起こりうる代謝の変化を記述しましたが、炎症があると代謝に申告な影響をもたらします。なので・・・代謝経路図を確認して、炎症で活性化されている酵素のコントロールをするとともに、炎症の場所に対する治療アプローチをしないといけません。

多くの場合、炎症は口から始まる消化管内なので、腸内環境の改善は非常に重要になります。外界と接する呼吸器においても、PM2.5による炎症などの対策をとる必要もあります。

PM2.5対策については、サプリメント療法レシピファイルに記載がありますので参考にして下さい。

腸内環境の改善には、善玉菌と食物繊維の摂取が必要です。

                                                                                         

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